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【コラム】

 

1)技術者の派遣についての問題点

現在、普通の事務部門についてでさえ、TOEIC900点クラスのスペシャリストの派遣時給は2000円程度です。一般事務部門は1200円〜1600円くらい。技術系でCADやITのシステム管理やソフト開発ができるクラスでは、1500〜1900円程度です。
私は、いろいろな求人誌の分野別時給解析をここ数年趣味と実益をかねてやっていますが、技術職でも2500円といったケースはほどんどみかけません。我々技術者で、とくにある程度の技術に精通したものでも、もし2000円といったら、1年間1900時間で働いた場合、通年勤務しても年収税込み380万円にしかなりません。女性で残業無しで家計を支える中心でなければこれでもよいでしょう。しかし、果たして一般的なこの時給でベテラン技術者が雇えるかといったら難しいのではないでしょうか。
私は時給2000円の技術職だったら、フルタイムでの派遣では働きたくないです。定年後で年金までの間をつなぐためのものであれば、考えなくもないですが、それまでにまだ20年近くありますので。

それから、派遣という雇用方式は日本の場合、あくまでもプロを必要に応じて必要なときに相応な価格で活用するという方式ではなく、そこそこの力量の若い人を安く、長く、保証なしで利用するといった風潮があることに疑問をもっています。募集年代はだいたい30代後半からせいぜい40才代半ばなので、シニアが入り込む余地は募集の段階からまったくありません。これは雇用均等法の年齢制限にひっかかるはずです。

B)技術コーディネーターをされておられる方からのコメント

今、日本の若い人々のなかに極めて優秀な人材が出てきていると思います。特に神戸大震災でボランティア活動をした人々や起業家の中にいるようです。本当に優秀な人々は日本の大企業に就職しないそうです。

私は、スペイン、エル・サルバドル、ベネズエラ、米国に合計21年半暮らしました。全ての国々で一種の革命が起こっていました。日本の所謂エリートたちは、全く新しい局面に出会うと普通の人々よりもかなり理解能力が低いのです。ハーバードやMITの卒業生が優れているかと言うと決してそうではない。

私が米国のMBA大学院(3流大学です)で国際マーケティングの講師とエリート談義をしたことがあります。彼は、1年ごとに国家のスパイ機関と民間軍需産業を動いている人物で、中近東と中国の軍需とエネルギーの専門家でした。彼も私はエリートとは企業に大損害を与えるという点で意見が一致しました。

エリートと言うのは、無駄なことをしないので、経験のデータベースが小さいのですね。しかし、大失敗をして、自分の能力に根本的に疑問を持ち、苦しんだエリートは、いったん理解し始めると普通の人々よりも深く理解します。私は自分の目で見ました。

だから、エリートはどんどん挑戦させ、失敗させて、経験のデータベースを豊富にさせることが重要だと思います。また、人間の能力は様々なのに、選択条件が日本の場合、非常に限られていますね。日本は敗者復活戦がないことが駄目なんでしょう。

私は、若くて優秀な人々を育てています。お金も権力もないけれど、人脈だけは豊富なので、彼らが会えないような人々に会わせており、また、自作ロボット産業を作るという遊びに巻き込んでおります。少し大きな目標めがけて挑戦させることが重要だと思います。私の友人に日本のバーコード・リーダー産業を作ってしまった人物がいます。彼が関わり始めた時は、まだ20代末だったはずです。だから、徒手空拳でも新産業創出はできるのです。

一人、神戸大震災でボランティア活動をした若者は、口八丁手八丁なんですが、死体がごろごろ転がり、すぐに手を打たないと、さらに死亡者が増えるという極限状況で頑張ったので、中高年のおじさんたちより性根が座っているように思います。日本の未来の指導者は関西から出てくるのかも。


C)大学関係者(バイオ関連)からのコメント
 
大学を大学の格で分けるようなやり方には賛成出来ません。どの大学にも、役に立つ技術は眠っています。それを発掘する目利きがいないだけだと思います。大学における研究者評価は、論文の質と量が第一に来ますので、いわゆるスター研究者の仕事の多くは良いシーズになりません。バイオ分野の例を挙げれば、競争の激しい流行分野では新規データ2−3で一流誌の論文になります。ただ、これだけでは、十分な範囲の特許は取れません。また、競争が激しいため、国際特許になりますと、なおのこと、広い請求範囲ができないことになります。その意味で、現在流行分野で、多くの論文を出しているスター研究者の仕事は、大部分、起業シーズとしては不適当です。あまり人が顧みない分野で、こつこつと仕事を続けられてきた研究者の中に、広い領域に渡る特許を出せる研究成果が眠っていると思います。ところが、TLOはじめ、多くのコーディネーターは、いわゆるスター研究者の研究室だけを歩いています。こうしたことでは、目利きも出来ませんし、ベンチャーも起業できない(起業しても伸びない)ことになります。
起業家育成プログラム事業として、経済産業省がMOTプログラムの開発を助成しています。私のプログラムも大学として採択されております。ところが、大部分の教材は、ビジネススクール系のものです。一般企業あるいは消費者を対象としたベンチャーの経営には役に立つと思いますが、大学発ベンチャーの経営には不向きであると思っております。大学発ベンチャーの多くは、研究開発に特化したベンチャーであり、個々の研究開発分野の専門家(創業者あるいはシーズを提供した研究者)とある程度の専門知識を有する経営者のセットが不可欠だと思います。バイオベンチャーの例を挙げれば、ある程度の成果をあげつつある大学発ベンチャーの経営にあたっている方は、ほとんど専門分野を卒業後、経営の知識をつけたという方たちです。一般中小企業の経営経験が無用であるとは申しませんが、研究開発に特化した中小企業ならともかく、基礎研究成果の技術評価や特許の目利きにはあまり有用とは思えません。個人的には、理系の教育を受けた大学院生あるいは企業での研究開発の経験を積んだ社会人に対して、専門分野に特化したビジネスのやり方を教えるコースが必要と思います。実務経験が重要なのは明らかですので、大学院フルタイムプログラム(当大学で、バイオビジネスコースとして平成17年度立上げ予定)では、インターンシップを修士論文の代わりにするコースにしたいと思っております。また、社会人対象の週末コースは、来年度から開講する予定ですが、有名人のセミナー・講義ではなく、実務の説明と実習に重きを置いたものにする予定です。ベンチャー育成や起業家育成のためには、より専門分野に特化した教育コースが重要であると思っており、理系の人材をどのようにしてこちらに分野に取り込んでいくかが、将来の日本を決めると思っております。

 

 
 

 

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